お世辞にも上手とは言えない地図を見ながら 迷いながらもたどり着いた。

表札もないアパートの扉の前に立ち、
インターフォンを押すと
中から足音が聞こえ
扉が開いた。

「誰・・・・?
あー、久保先輩の・・・」


平然としてる
この男の姿を見た瞬間
私の右手は
この男の頬を
思い切り ひっぱたいてしまっていた。


「ってぇー・・・・
何、あんた?」

怖くなんか・・・ない。

「へぇ、話せるの?
女殴る奴なんて
人間以下でしょ?」

少し震えた声で
精一杯
その男に向かって言った。

片手を引っ張られたと同時に
扉の中へ押し込まれ、
私の体は
壁へと突き飛ばされて
逃げ道すらもない。

「一人で敵討ちにきたって事?」

完全に目が据わり
冷たい表情で言い放つ姿に
逃げ腰になりそうになりつつも
美香の あの痛々しい姿を思い出すと
やっぱり、
この男は 許せない。

「女殴って 何も思わないわけ?
あぁ、だから 
そういうふうに 威圧的な態度とれるんだ。
弱いものイジメってやつだもんね?」

「おまえ、なめてんの?
久保先輩達と関わりがあるからって あんま調子に乗ってると 痛い目みるよ?」

「輝樹は関係ない・・」

「へぇ・・関係ないんだ?
じゃあ あんたに何しようと
関係ないよね?」

痛いくらいに両手を掴まれ
男の手が
ブラウスのボタンに伸びた。