足音に気がついたのか――‥ 八重が振り返った。寝癖みたいにピョンと外向きに跳ねた短めの髪が素直に可愛いと思えた。 「ああああっ!愛莉紗!」 走り寄る私を指差す八重は笑って手を振ってくれる。私に気付いた太陽も同様、元気に両手を大きく振ってくれた。 遅刻した私に嫌そうな顔をするかと思っていた湊は何故か安堵したようにホッと息を吐いた。コイツまじ意味わかんないし。