ダダダダダダダ―――…
嵐が去ったように静けさが増す。娘は綺麗に巻かれた金髪を靡かせながら勢いよく駆けて行った。


母親はその後ろを呆然と見つめていた。手には持っていた食堂【KUSAKABE】の品書き一覧の紙。




「愛莉紗が、走るなんて…」




いつも傲慢で、我が儘で、我が道を行く娘は自分のペースを決して乱しはない。慌てる娘も珍しいが走る事はもっと珍しかった。


此処に来てから見られる愛娘・愛莉紗の変化に母親は嬉しそうに顔を綻ばす。