少女は脚を水に浸しながら屈んで海に手を突っ込んだ。そして目に止まった貝殻を手にする。


図鑑や本で目にするものばかり。綺麗な質でありながらも、薄く、割れてしまいそうなものや、硬く、丈夫そうなものまで。


よく見れば巻き殻の中にいるヤドカリも発見。見たこともない海の実態に少女の興奮はピーク寸前。


『いっそ、深くまで泳ぎに行こうかな?』と思い脚を沖に進めようとしたとき。








「お姉ちゃん!」



小学校くらいの女の子の声が砂浜から聞こえた。女の子の“お姉ちゃん”らしい少女は鬱陶しそうに振り返り、不機嫌な声色を出す。