ついさっきまで、コンクリートに立っていたのは確かだった。 そして海を背景に母親と、妹と、会話していたはず。 聞こえるのもエンジンの音でも流暢に流れるjazz演奏でもなく、海の波打つ音。 “ザア〜“ザア〜”ザア〜” 確かに、海に居た。 砂や、塩の匂い。音。感触。 全てがリアルに残っていたからだ。