フラれる覚悟で来たけど。 「聞きたく、ない……」 気がつけば私はそんなことを言っていた。 って、おいー! 彼をこれ以上困らせてどうするんだ私! 「種梨くん、好きな人がいるんでしょ……?私のことは放っておいて、その人のところに行きなよ」 もう、何を言っているのかよくわからない。 行って欲しくない、好きな人のところになんて。 「ねぇ瀬野さん、こっちを見て?俺を……見て」 肩を掴まれ、身体を反転させられる。 「お願いだから、そんなこと言わないで話を聞いて」