泣いちゃダメだ。 彼を困らせたくなんてないのに。 ようやく暗闇に目が慣れてきたっていうのに、視界は涙でぼやけるし。 彼の口から、何か聞くのが怖くて。 その場から逃げ出したくて一歩踏み出す。 「……きゃあっ!」 「……っ、瀬野さん!?」 逃げようとして、足を踏み出したら何かに引っかかって転びそうになった。 咄嗟に彼が腕を掴んでくれたから、転ばずには済んだけど。 「待って!俺も……君に伝えたいことがあるんだ」 嫌だ、聞きたくない。