一度口にしてしまえば気が楽になり、糸が切れた人形のように私は話しはじめた。 「はじめて会った時は……ただ優しい人なんだって思った。 クラスのためや人のために厄介事を引き受けてる、ただのお人好しな人だって思った。 それくらいにしか、思わなかった」 「……」 「でも、同じクラスで少しずつあなたと過ごすうちに、時折見せるらしくない表情や悩みを隠そうとしたり強がったりしている種梨くんを見て いつからか支えたいって思うようになった」 ……泣くな、私。 今泣いたって、彼を困らせるだけだから。