私を睨みつける女の子たちの視線を感じつつも、彼とともにそこから離れる。 誰にも聞かれたくない。 校舎なら、今の時間は誰もいないかな。 もしかしたら片付けをしている生徒と鉢合うかもしれない。 でも今の私の頭じゃ、そんなこと冷静に考えられなくて。 一階の、とある空き教室に入る。 油絵のにおいがするから、美術室だろう。 「……えっと、瀬野さん?」 なかなか話を切り出さない私に、彼が問いかける。