私は小道具の衣装担当だけど、昨日ようやくすべて縫い終わった。 「ねぇ、何か手伝おうか?」 「え……ありがと!じゃあその馬車のセット運んでくれる?」 「うん、わかっ……」 そう言いかけて、私は口をつぐむ。 木の板に馬車の絵を書いただけのそれは、1人で持つには幅が広い。 麻桜を呼ぼうかと思ったけど、出演する人は先に体育館へ向かったんだっけ。 仕方ない、頑張って運ぼう。