「……教室、戻ろう?麻桜たちが待ってるかも」


ペンキを、というのは言おうとしてやめた。




「行かないで」


「え……」


立ち上がろうとした私の腕を彼が掴んだ。



「ごめん。でも、もう少しだけ……ここにいてほしい」


そんなふうに言われたら、私自惚れちゃうよ?



私なんかでも『特別』になれるチャンスがあるって思っていいの?


彼のそばにいていいのかなって。
バカな私は期待しちゃうよ?



でも、一分一秒でも長く……彼のそばにいたい。


だから、もう少しだけ……