壁に耳をつけて、話を盗み聞きしてしまったという。

中学生だし、単なる好奇心からくるものだし仕方ないと思う。










『……種梨遥希をこの辺りで1番の高校に通わせ、そこからT大を受けさせればいい』


『しかし、そううまくは…』


『あの子は私たち教師に逆らったりしないだろう。説得すればきっと……』



その話は、中学生の彼には重すぎる話で。


大人たちのひどく身勝手な願望で、彼の人生がコントロールされてしまうかもなんて。



彼は、怖くなってその場から逃げ出したという。