「種梨くんを、探してたんだ」 あの時は素直になれなかったけど。 今は、自分の本心をただ言葉にする。 「俺を?……あぁ、ごめん!ペンキね、俺先生からもらうの忘れて……」 そう言おうとした彼の手を掴む。 少し強引に。 「違う。種梨くんが心配だったの」 「俺が?」 自分が辛い時まで、無理しないでほしい。 さっきの会話を聞いたからだろうか、余計にそう思う。