【完】お人好しな彼に、恋をしました。



ほんと、どんだけ体力ないんだ私。

息を整えたあと、ドアノブを握る。




ガチャ



屋上ってこんなふうになってるんだ、と思う前に視界に映ったのは1人の男子生徒。



「瀬野さん……どうしてこんなところに?」


ゆっくりこちらを振り返った彼が、そう言う。


同じようなことが、前にもあったね。

あの時も、彼はそう言った。




その時は、彼だっていう確信はなかった。


でも今は……




「種梨くん……」

間違えようのない、私の好きな人。