【完】お人好しな彼に、恋をしました。


「そんな……人の弱みにつけ込むような人に、私は負けない、から」



言えた。
もしかしたら、彼がいてくれたからかもしれない。





私も彼のように強くなりたいから。

私にとっての種梨くんは、きっと憧れなんだ。





「……へぇ。言うじゃないですか。もう知りませんからね」



彼女はそう言うと、私から離れる。


その隙に、私は走ってそこから逃げ出す。


もしかしたら、今バラされてしまうかもしれないし。

さすがにその瞬間に立ち会うことはできそうもない。