「私は麻桜と一緒に来て、迷っちゃってさ…」 「俺は…」 彼の横の階段に、そっと腰かける。 ……人がひとり入れるくらいのスペースを空けて。 「少し、自分を叱ってたんだ」 「どうして?」 「…さっきの試合、見た?うちの学校が負けたのって、俺のせいなんだ」 「そんなことな…っ」 「あるの。俺が集中できなかったから」 種梨くんはぽつぽつと話はじめる。 いつもなら目を見て話してくれるのに、今日はうつむいたままだ。