私の願望が口から零れた。 道着姿の彼が、こっちを見る。 「…せ、のさん…?」 黒い瞳がこれでもかってくらい見開かれる。 そうだよね、まさか私がいるだなんて思わないもんね。 「「どうして、こんなところに…?」」 お互い言いたいことは同じらしい。 私はどうして彼がひとりでここにいるのかなって思った。 彼はきっとどうして私がこの会場にいるのかって意味で聞いたんだろう。