「種梨くん!?これ……」 あっという間に彼の姿は見えなくなってしまった。 もしかして…電車から降りたあとも使うって考えてくれたのかな。 私があまり雨に濡れないように、傘も私のほうに傾けてくれていたし。 彼の優しさが、すごく嬉しくて。 濡れるのも構わず、その傘をギュッと抱きしめた。 ありがとう。 言えなかった私の気持ちが、少しでも届けばいいと願いを込めて。