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次の日――。


あたしはあの後、結局一睡もできずに朝を迎えた。


カーテンから漏れる眩しくて不快な太陽の光が、今日は一層うっとおしい。


あたしは重い身体を引きずってリビングへ向かった。


シンと静まり返ったリビング。


いつもと変わらないはずなのに、何故か寂しさを感じた。


まだ彼が起きてきた形跡はない。


こうして改めて見てみると、この部屋にはいろんな思い出が詰まり過ぎている。



ただ、何気無い日でも、彼といるだけで毎日が夢のように楽しかった。


でも、もう……。


あたしはゆっくり白いバラの花瓶に近づいた。


そして一輪のバラに手を伸ばす。


もしかしたら、これに触れても何も起こらないかもしれない、というあたしの淡い期待は一瞬にして砕かれた。


美しく咲いていたバラはたちまち色を変え、すぐに手の中で枯れてしまう。


やっぱりあたしは…彼と一緒にいるべき存在ではない。


最後にふと、彼の紅茶が飲みたくなった。


あたしはフラフラと歩いてキッチンに向かう。


お湯を沸かし、紅茶を準備しようとした瞬間……。