恋したvampire

「ミリア、好きになっちゃった……」


「……っ、」


どうして、あたなはあたしのことをこんなにも掻き乱すのだろう。


嬉しかった……。


彼に好きと言われて、本当に嬉しかった。


ただ、なぜだろう。


心がこんなにも痛い。


彼があたしに落ちること。


それを望んであたしは人間界に来たはずなのに。


これで、やっとこの居心地の悪い人間界を離れて元の生活に戻れるのに……。


今のあたしは、そんなこと、これっぽっちも望んでいない。


この嬉しさは、運命の血を吸える嬉しさでも、ヴァンパイア界に戻れる嬉しさでもない。


……ただ、純粋に1人の女として。


彼に愛してもらえたことが嬉しかった。


だから、心が痛い。


あたしは…こんなあたしを想ってくれた彼のことを裏切ることになるのだから。