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彼と出かけ、あの狂ったヴァンパイアを見たあの日から、あたしは何となく彼を避けるようになっていた。


あんな愚かなヴァンパイアのような運命にはなりたくない、


早く覚悟を決め、彼との関係を絶ち血を吸ってヴァンパイア界に帰らなくては……。


「ミリア、今日は少し遅くなるからね。先にご飯も食べていいし、寝てていいから。あ、ちゃんとあったかくして寝るんだよ」


でもあたしが距離を取るにも関わらず、相変わらず優しい彼。


そんな彼を苦しめることなんてできない……。


前に聞いたことがある。


ヴァンパイアに血を吸われる人間は物凄く苦しいらしい。


何の感情も持たない人間を苦しめることなんて、何の罪悪感も抱かないだろうけど、あたしは彼の優しさを知ってしまった。


彼はあたしにこんなにも尽くしてくれているのに……。


あたしは自分が1人前の立派なヴァンパイアになるために、彼を苦しめ、何の恩返しもせずにヴァンパイア界に帰るなんて……。


そんなこと…できるわけないじゃない……。