そしてあたしは気がつかなかった。


「……何をやってるんだ」


この、ずっと楽しみにしていた最悪なお出かけを、ずっと見られていたことに。


「……冗談じゃない」


もう、これ以上この世界にはいられない。


「あんな愚かな吸血鬼のようにさせるわけにはいかないんだよ……」


見つかってしまった。


どうあがいても逃げられないあの人に……。


慧くん、サヨナラ……。


あと少しだけ、あたしに夢をみさせて……―――。




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