「……りあ…みりあ……ミリアッ‼︎」


彼に肩を掴まれ、ようやくハッと我に返る。


見ると彼は心配そうにあたしの顔を覗き込んでいた。


「ごめん、慧くんっ」


我に返ったあたしは慌てて彼に謝った。


それでも様子が明らかにおかしいあたしを、彼は心配そうに見つめている。


その悲しそうな瞳を見ると、どうしても彼に嘘はつけなくて……。


「……ごめん、慧くん…ちょっと疲れちゃった…。帰ろう……?」


こんなによくしてもらったのに、結局あたしのわがままばっかりで……。


申し訳なくて顔を上げられずにいると、彼はあたしの頭を優しく撫でてくれた。


「ごめんごめん、久しぶりなのに連れ回しすぎちゃったね」


顔を上げると彼は嫌な顔ひとつしていなくて。


「帰ろっか?」


そう言ってあたしの手を取って歩き出す。


こんな普通の女の子でもない、変わり者のあたしのわがままを何も言わずにきいてくれるなんて、どこまで優しいのだろう……。


彼の優しさに触れると嬉しくなるはずなのに、何故か心が痛むんだ……。