恋したvampire

「おい、何してんの?」


男性にしては高めの、透き通った綺麗な声…。


振り返ると、そこには一人の男の人が立っていた。


色白で背が高く、整った顔立ち…。


まさに『美男』


そしてこの男から、漂う血の匂い…。


間違いない、この匂い――。


「何? お前」


邪魔をされた二人組は不機嫌そうに立ち止まった。


「嫌がってるだろ?」


「関係ないね」


ケラケラと笑う二人組。


すると彼は、あたしの腕を掴んでいる男の手を掴んだ。


「最低」


「痛っ…」


すると、すぐに男は顔を歪め手を離した。


「クソッ…」


彼の力に怯んだ二人組は、逃げるように去っていった。