恋したvampire

その後彼は、女の子が好きそうなパスタのお店に連れて行ってくれた。


外の世界なんてほとんど知らなかったあたしにとっては、全てのことが新鮮で楽しかった。


でも何より、隣に彼がいてくれるだけであたしは幸せで楽しい気分になれる。


それなのに彼は食事の後、あたしを服やアクセサリーショップに連れてきてくれた。


服やアクセサリーになんてさほど興味はないけれど、彼が似合うと言って笑ってくれるのが嬉しくて……。


こんなに良くしてもらって、本当に申し訳ないなって思う。


でもお礼を伝えれば、いつだって彼は軽く笑ってこう答える。


「俺がしたくてしてることだから、気にしなくていいよ」


すごく不思議な人だけど、この優しさに触れている時が一番心地いい。


こんな夢のように幸せな時間を過ごせたら、もう他には何もいらない。


このまま彼のそばにいれたら、どうなったってかまわない。


でも現実はそんなに甘くない。


生まれ持った運命(さだめ)は、どんなに願い足掻いたって変えることは出来ないのだ……。