恋したvampire

そんなことをぼんやりと考えていると、ガチャリと玄関の開く音がした。


｢慧くんっ｣


あたしはソファから飛び上がると、いつもより張り切って玄関へ駆け出した。


｢慧くんおかえり‼︎｣


玄関の扉を閉めて靴を脱いだ彼にぴょんっと飛びつく。


今日の朝はしっかり彼がどんなアクセサリーをつけて行ったかチェック済み。


あたしの天敵である、あの十字架のネックレスは今日は彼のアクセサリーケースの中にある。


だから安心して彼に抱きついた。


｢ただいま。ふふ、いつも可愛いな｣


彼はいつものように優しく笑うとあたしの頭を撫でる。


そこでいつもあたしに可愛いと言ってくれる彼に疑問を抱く。


彼はあたしのことをどう思って可愛いと言うのだろう。


少しでも恋愛感情があってなのか、またはただあたしは彼にとって自分になつくペットのような存在なのか。


でもそんなのはどうだっていい。


ただあたしは彼があたしをそばにおいてくれるだけで嬉しいんだ。