恋したvampire

「大丈夫だよ。ごめんごめん、寂しかったね」


離れたくなくて…
このぬくもりにずっと触れていたくて…


彼に抱きつく腕を強めると、優しく頭を撫でられる。


たったそれだけのことなのに、大きくて綺麗な優しいこの手に安心できた。


このまま…こうしていられたら……。


もう認めるしかないくらい、あたしの中での彼の存在は大きい。


自分が、どれだけのタブーを侵そうとしているのかなんてわかってる。


でも止められない、止めたくない。


しかし、所詮こんな幸せなんて長続きしない。


彼といれる時間が残りわずかであることも、ヴァンパイアの自分が今自分の世界のおきてを破ろうとしていることも…あたしは見て見ぬ振り。


今後どうなるかなんて、今は考えたくなかった――。