恋したvampire

「……慧くん」


「ん? ミリア?」


そんなことを考えて、急に寂しさを感じたあたしはリビングの彼の元へ急ぐ。


彼がネックレスを取ったのを確認し、ギュッと後ろから抱きついた。


「急にどうした?」


彼はクスクスと笑いながらあたしを見る。


身体に伝わる、彼の温かい体温が心地いい。


ふとテーブルに目を向けると、さっき彼が外した十字架のネックレスが目に入り、ドクンと心臓が脈打つ。


そう、彼は人間。


十字架を見たって、眩しい太陽の光を浴びたって平気。


それに比べてあたしはヴァンパイア。


十字架は怖いし、長時間光を浴びれない。


だから…このぬくもりは決して長くは感じられない。


わかっていたはずなのに……


人間界なんてって思っていたはずなのに……。


どうしてこんなに胸が苦しいの……?