「慧くん…?」


あたしはそんな彼を探しに、重たい身体を引きずりながらキッチンへ向かう。


キッチンを見ると、紅茶を入れる準備をする彼の姿があった。


「あ、ミリアおはよう」


彼はあたしの存在に気がつくと笑顔で振り返る。


「慧くん、もう大丈夫なの…?」


あたしは彼の隣に立つと、重たい身体を預けるようにキッチンに寄りかかる。


心配するあたしをよそに、彼は平然と笑いながら作業を続けながら言った。


「大丈夫だよ、元気になった。ミリアのおかげで」


「ありがとう」と微笑むと、彼はポンッとあたしの頭に手を置いた。


それだけのことなのに、妙な安心感を覚える身体。


「無理しちゃダメだよ。あたしやるから座ってて?」


「大丈夫だって……」


「いいから!」


あたしは彼の手を半ば強引に止めると、彼をソファに座らせた。


そうでもしないと、どんどん彼の存在があたしの中で大きく必要なものになっていく気がしたから……。