恋したvampire

あたしは彼を支えるため、大きな背中に腕を回す。


その背中から伝わる熱に、あたしは妙な安心感を覚えた。


「はい」


あたしがお粥を差し出すと、彼は何も言わずにそれを見つめた。


「慧くん…?」


「悪ぃ…ダルくて食べる気しない…」


「食べないとダメだよ」


あたしが無理矢理口元にスプーンを持っていくと、彼は素直に口を開けた。


「…うまい」


「よかった…。もう少し食べれる?」


彼は頷くと、あっという間にお粥を完食した。


「慧くん、薬」


「…ありがと」


彼は薬を少し躊躇いならがら受け取り、じっと見つめてあたしをチラッと見た。