恋したvampire

こんなことを言うなんて、想像もできない。


あたしは言葉に詰まってしまった。


すると、彼はハッと我に返るように腕を離した。


「ごめん…。何でも…ない…」


彼は気まずそうに目を反らし、布団に身を潜めた。


「すぐ来るから」


あたしは少し微笑んで軽く彼の頭を撫でると、急いでキッチンへと向かった。


キッチンで作業をしていても、彼の言葉が頭を駆け巡る。


きっと、今まですごく寂しい思いをしてきたのだろう。


あの優雅で不思議な彼が、あんなことを言うなんて…。


そしてそんな彼を、不覚にも可愛いと思ってしまった自分がいた。





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