恋したvampire

しかし、その表情はすぐに消えて苦しそうな表情に変わってしまう。


あたしはそんな彼を見て、少し切なくなった。


今までこんな状況でも独りだったのか、と…。


それを考えると、急に彼が気の毒に思えてきた。


「慧くん、お粥作ってくるね」


あたしは苦しそうな彼を残し、キッチンに向かおうと立ち上がった。


その時―…。


「独りに…しないで…」


彼はあたしの腕を掴み、今にも消えそうな声で呟いた。


「えっ…?」


その切なそうな呟きに、あたしの心臓がドクンと脈を打った。


こんな彼は見たことない。