そっか…。慧くんって大学生なんだっけ…。


「ねぇ、慧くんってどこの大学行ってるの?」


あたしはソファーに倒れたまま問いかける。


彼は、あたしの分の紅茶を用意しながら教えてくれた。


「音大だよ。結構有名なとこ」


なるほど…。


音大生だからピアノがあるのか…。


「じゃあ、ピアノ弾けるの?」


「そこそこね」


そう言って笑う彼。


相当うまいんだなと、あたしはその笑いで確信した。


そしてあたしは使った形跡のないキッチンに目を移す。


「慧くん、朝ごはんは?」


「あぁ、食べてない」