彼は少し気まずそうに笑う。


「じゃあ…慧くん…?」


あたしが尋ねると、彼は少し考え込んでから「まぁいいや」と笑った。


その笑顔にまた胸が高鳴る。


何で…あたし、ドキドキしてるの?


この人に近づいたのは、ただ血を吸うためなのに…。


「そういえば荷物は?」


彼が尋ねてきて、あたしはまた困ってしまった。


しまった…。


あたし、着替えも何も持ってないんだ…。


「何も持ってないの?」


彼に不思議そうに聞かれ、あたしは頷いた。


「買いに行く?」


どうしよう…。


また外に出るのか…。