恋したvampire

ふうん…。


「君は嫌い?」


あたしが黙っていると、彼は作業する手を止めてあたしを見た。


「別に嫌いではないですよ」


「そっか。よかった」


あたしが答えると、彼はまた手元に視線を移した。


バラは嫌いじゃない。むしろ好きな方。


ただ…――。


吸血鬼の手はバラを枯らす。


くれぐれも触れないようにしなければ…。


「まあ、座って?」


部屋の真ん中にあるソファーを指差され、あたしは素直にソファーに腰を下ろした。


すると彼は目の前のテーブルに紅茶を置いた。


「どうぞ」


「…いただきます」