満月の夜。


夜中に人間界に舞い降りた、一人の少女。


茶髪で毛先に青いメッシュの入った髪は、艶々で緩いパーマがかかっている。


ブルーの澄んだ瞳は、真っ直ぐ前を見つめていて、口からは鋭い牙が覗いていた。


「ここが…人間界…」


そう、彼女は人間ではない。


異界の血が流れた、由緒正しきヴァンパイア(吸血鬼)なのである。


ヴァンパイアは人間でいう16歳になると、こうして人間界にやってくる。


そして運命の相手を見つけ、その血を吸うことで一人前と認められるのだ。


彼女の名は(岡本)ミリア。


ヴァンパイア界でも優秀なヴァンパイアである。