私はそう言って、彼に背を向けて歩き出した。 後ろから彼のファンの子たちの悪口が聞こえる。 「なにあれー、感じ悪ーい」 「潤様が挨拶なさったのに」 「ほんとひどーい」 全部無視して屋上へ向かう。 ドアを開けると、涼しい風が髪をかきあげる。 五月晴れって、この事を言うのかな。 「……はあ」 ため息をつくと、さっきの彼の姿が思い浮かぶ。 ああ、駄目だ。 もう無理。