「どうしたんだ?」



後ろから顔を出す華蓮。
だが、見た瞬間、顔しかめる。



「うっわ………」



ル・メイを押しのけ、馬車から下りる。

目の錯覚かと思って近寄ってみたが、そうではなかった。



「…………橋が落ちてる」



長い年月の役目を果たしたように橋は跡形もなく崩れ落ちていた。

元から古いこの橋は木で作られているため崩れやすくなっているのだ。


それに今日のこの雨。


元々腐っていた木が雨のせいで余計崩れやすくなっていたのだろう。



ムッオッオーアー!!



「ムンマッ!?みんなっ、ムンマがっ!!」



美しい顔をゆがめて馬車から飛び降り、ムンマに駆け寄るリュンマ。

ムンマが足を滑らせて今にも崖から落ちそうになっていたからだ。


きっと、橋が崩れた一番の原因はこのムンマの体重だとリュンマ以外の四人は悟った。





橋の下は深い谷だ。

落ちたら一たまりもない。



「…多分、橋を渡ろうとして…足を踏み出したらこの橋がムンマの体重に耐え切れず、落ちてしまったのだと思います」



一人分かっていなさそうなリュンマに冷静に、早口で説明しながらムンマの太い後ろ足を引っ張るシャラン。

しかし、彼女の細い腕ではびくともしない。


シャランにつられて華蓮もムンマの尻尾を引っ張る。

華蓮に引っ張られた時一瞬ムンマの表情が強張ったがル・メイは見てみぬふりでムンマの前足を引っ張った。


自分も何かせねばと香月も仲間に加わる。