糖度∞%の愛【改訂版】


就職の時も、私は自分の履歴書に“IDDM”とは書かなかった。

この病気は“糖尿病”っていう名前がつくだけで、就職するときにネックになると知っていたから。
ネットで同じ病気のコミュを見ていると、本当にいろいろなことが書いてあった。
ほぼ内定が決まったところでも、健康診断の結果を見たとたんに“不採用”の通知がきたり。血糖コントロールを慎重に行って、健康診断をパスして入社して、ある程度人間関係を気づいてから病気のことを知らせたり。病気のことを説明しただけで採用してもらえないところもあったという人がたくさんいたのだ。

でも私の勤める会社は違った。

気を付けたつもりだったのに、血液検査で引っかかって呼び出されて、正直落とされると思っていた。なのに社長は、IDDMがどんな病気なのか、私からの説明を聞いてくれた。そしてその説明を聞いたうえで、『弊社は身体ではなく能力のある人材を受け入れます』とその場で採用を貰ったのだ。

正直、結構名の通った会社がこんな対応をしてくれるとは思わなかったから、嬉しい誤算だった。

そしてそんな会社に一発で出会えた私は、すごく幸運だったのだ。

そんな運を、恋愛にまで求めてしまう私は贅沢なのかもしれない。
恋人もこんな秘密をもつ私を、丸ごと受け止めてくれる人を求めてしまうのだから。