糖度∞%の愛【改訂版】


今まで五月女は、一度も私をそういう目で見たことがなかった。だから指導を教育係を初めて一年経った時くらいから、コイツの中で私は恋愛対象外だと確信したのだ。それからは取り繕うこともせずに地をさらけ出していた。私が顔に似合わず毒舌で、しゃれた店より居酒屋が好きで、お酒も好きで、女らしくないことも知っているはずなのに。

それなのに、そんな私に告白してきたコイツを、ある意味勇者だと思う。

っていうか、なんでまたこんなとこで言うんだか。だいぶTPOのセレクトを間違ってるんじゃないだろうか。

そんな心中の思惑を顔には出さない。きっと五月女の告白に私が驚いたことすら、コイツに悟られてはいないはずだ。

静かに息を吸い込んで、私はまっすぐ五月女を見つめる。
相手が五月女だって、私の聞く言葉は変わらない。


「私、爆弾抱えたやっかいな女だけど、それでもいいの?」


そう、それは私が女らしくないことよりも、もっともっと重要なこと。

私が抱える何よりも大きな“モノ”。

それでも告白してきたからって、簡単に打ち明けることのできない、大きな爆弾。

ある程度の信頼関係がないと、打ち明けることが怖いモノ。

できるなら知らずにいて欲しいと思うくらいだ。でも、知らないままじゃ深い関係は築けない。