「なんでいっつも強気なクセして、恋愛になると途端に弱気になるの?沙織って」


呆れたような声とともに、落とされた溜息。

きっと私の一番の親友である彼女は、私の考えなんて手に取るように分かるんだ。だからこそ、最初にあんな風に真面目に取り合ってないような態度を取ったんだと思う。

本当に、私の周りには、私のことをよく分かってくれる人が集まっている。


「アイツがアンタに片思いしてた年月を、バカにしてるとしか思えないわ」

「……」

「アンタのありのままの姿も、身体のことも、全部知ってそれでもずっと想い続けて、自分の中で覚悟を決めたうえで告白したアイツがホント可哀想」

「……うん」

「アンタのこと一番近くで見てて、一番の友達のつもりだった私だって、すごぉく可哀想」

「……ごめん」


ただ項垂れることしかできない。

私だって、信じている友達に、“どこかで信じられていない”と思われてるって分かったら、すごくショックだ。
それを私は、真帆と彼方にしている。

本当にどうしようもない。

頭ではちゃんと分かっているのに、疑うことを止められない。それを病気のせいにしたくないのに、結局はそのせいだと結論付けてしまう自分にイラつく。
終わりのないジレンマ。


誰よりも病気に囚われているのは、結局私自身なのだ。