糖度∞%の愛【改訂版】

意地っ張りで素直になれない私が、自分から真帆に言うことはなかなかない。そんな私の性格を分かっているから、自分が悪役になってまでこうして聞いてくれる。
つくづく私は、周りに恵まれている。


「ここまで一緒にいてくれる彼氏が出来たのも初めてなら、ここまで理解しようとしてくれる彼氏も初めてで」


ぽつりぽつり、こぼすのは胸の中にためていた不安たち。
それを真帆は、じっと私の目を見ながら、黙って聞いてくれている。


「だからこそ、この恋愛が終わったとき、私また恋愛ができるのか不安になるんだ」

「……なんでそこで終わりを考えるの?」


当然の指摘だ。一瞬言葉を飲み込んで、息を吐きだして。それでも、素直な気持ちを真帆に伝える。


「それは、今まで別れのない恋愛がなかったから、かな」

「それはアイツが可哀想だよね。沙織への好きっていう感情を、元彼との別れのせいで信じてもらえないんだから」

「分かってる。 そう考えることが、アイツにすっごく失礼なことなんだってことも」

「それから私にも失礼だわ」

「……それも、分かってる」


それでも今まで培ってきた恋愛経験値は、自分でも呆れるくらいに低い。それでいて淋しいものだ。

この人なら、この人なら。何度思ったことだろう。

病気のせいだけじゃないのかもしれない。それでも別れの原因を考えると、私にはそれが一番の理由に思えてしまうのだ。
だったら、最初から私の一番のネックを知らせてしまえばいいのかと、お決まりの言葉を言うようになったけれど。それでもいいと言いながら、結局は離れていく人ばかりだった。