「藤城さんに聞いてから、今までじっくり、沙織さんの傍で仕事して、ずっと見てきて、ずっと考えて。“Ⅰ型糖尿病”のあなたのことを、まるごと全部支えられると確信したから、告白しました」
どくどくと、体中の血液が一気に心臓に集まってるんじゃないかってくらい、鼓動が速い。
この言葉は、私にとって最上級の愛の言葉だった。
私がこんなにドキドキしているというのに、追い打ちをかけるように五月女は、尚も言葉を続けた。
「好きなんです。こころから」
茶まじりの黒い瞳が、じっと私を見つめる。
その熱い想いを乗せた視線に絡め捕られて、その瞳に吸い込まれるような錯覚さえ覚えた。
唐突に、これが本当の“惹かれる”ということなんだ、と思った。
とっても自然で、抗いようがない。抗うことさえ忘れてしまうほど、当たり前に。
私はコイツの言葉のすべてに、その想いに、どうしようもないほど“惹かれている”。
「沙織さん?」
黙ったままの私を怪訝に思ったのか、少し首を傾げて見下ろしてくるコイツに、不覚にも自分の顔が朱に染まるのが分かった。
自分でも分かるくらいだから、もちろん目の前にいる五月女にだって分かったはずだ。私の顔色の変化を見たとたんに、さっきまで神妙な面持ちだった顔が、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


