お前が泣きやんで、またヘラヘラ笑って「おいっす」と肩を叩いてきたとき。

どうして私は「ばーか」と言って、その手をはらったのだろう。


その手を握りしめてやればよかったのに。
「大丈夫」って言ってやればよかったのに。


いまも思い出す。


あのときのすすり泣く声。

あれはもしかすると、自分のせいなんじゃないかと思った。


そう悩む私に、あいつはこう言った。


「なーちゃんと一緒におったら、ほんと面白いわ」


何に悩んでるか知らないくせに。なぜかあいつはそう言った。

泣きたくなった。