「大くん……? まーちゃんこそ何言ってるの?
お隣に住んでた子は、ヒロ君だったでしょ?」
「…………」
噛み合わないお母さんとの会話に、2人で言葉を失う。
どういうこと?
私の初恋の男の子は、大くんっていう名前じゃないの?
ううん、間違いないよ。
彼が引っ越すまで、ずっと大くんって呼んでたんだから。
でも、お母さんが間違えるわけないよね。
じゃあ、どうして違う子の名前が出てくるの?
わからない名前の不思議にはまりそうになったその時。
――ピーンポーン
リビングに備え付けてあるインターホンのモニターから、誰かが来たことを知らせる音が鳴る。
お母さんが私と顔を見合わせてから、小走りで応対すると、そのまま玄関に向かった。
知り合いの人が訪ねてきたのか、賑やかな話し声が聞こえてくる。

