顔を近付けられて、苦笑いをすると、今度は私の目を覗きこんできた。
「その顔は信じてないでしょ~! ははーん、わかった。
まりやは、またあの子のこと考えてたんだ」
栞の鋭い指摘に、喉の奥から小さく声が出た。
だって、忘れられないんだから仕方ないよ。
栞が言った“あの子”は、私の初恋の男の子。
幼稚園の時に、お隣に引っ越してきた
可愛い男の子。
小学2年生まで、ずっと一緒でよく遊んでた。
優しくて、頼りになって、笑うとひだまりみたいに温かい笑顔を向けてくれた。
私の初恋で、
私の王子様。
当然、このまま中学も一緒に通えると思っていたのに、
神様は残酷だと子供ながらに思ったのを覚えてる。
彼は、小学3年生を迎える前に、お父さんの転勤で引っ越すことが決まった。

