「クールビューティーな王子様も恋をするの巻だね、これは」



今登校してきたばかりなんだろう米倉は、スマホを持って話に入ってきた。



「いやぁ、カッコイイね〜! まりやに見せてやろうっと。激レアだから、完全保存版だよね。

これをネタに当分楽しめそうだわー!!」



ニシシと怪しい笑いを漏らして、撮りたてホヤホヤの動画を再生しだした。



今のを米倉に撮られてたなんて知らなかった俺は、額に嫌な汗をかく。



「今すぐ消せよ……米倉」



「あたしに命令するなんて、松っちゃんいい度胸してるじゃん?

なんて言われても絶対にまりやに見せちゃうもんね〜!!」



「マジでやめろ……っ」



「大翔が焦ってる! オレ初めて見たし」



「いっつもクールだからね〜。ま、たまにはいいんじゃない?」



逃げる米倉を捕まえようとする俺を、光も祥吾も笑って見てるだけ。



結局、米倉を捕まえ損ねた俺は……この後日……



風邪が治ったまりやに全部知られることになる。