「ううん、大丈夫。

でも……遅いから何かあったのかなって、少し心配した」



控えめに笑ったまりやの瞳が、微かに揺れたのに気付く。



ちょっとしたことでも、心配してくれたまりやの気持ちを知って、一言も連絡を入れなかったことを苦しく思う。



ポンポンと優しく頭に手を乗せる。



それに反応するように、まりやの視線が俺を捉えた。



「ごめんな。光が急に来たから、なかなか戻ってこられなかった」



「宮内君が?

そっか、そうだったんだ。よかった」



心の底から安心した、そんなホッした表情を浮かべて、強張っていた表情を和らげてくれた。



「すぐ夕飯の用意するから」



いつものまりやに戻ったことに安心感を覚え、家の中に入る。



「あの……っ。

夕飯なんだけど……私、作ってみたの」



「え……?」



目を見開いて振り向くと、照れ笑いをするまりやの姿が映った。