最初の頃に比べると、緊張も解けてきたのか、まりやも普通に話してくれるようになった。



すぐ戻るからと言い残して、家の前で別れて自宅に着替えを取りに行く。



3日分くらいあれば、とりあえずいいだろ。



クローゼットとタンスから、適当に着替えを出すと鞄に詰める。



それを持ってすぐに家を出ようとしたところで、マナーモードにしていたスマホが、ポケットの中で震えた。



階段を下りる手前で相手を確認すると、俺の眉間に深いシワができた。



嫌な予感がしたけど、とりあえず電話に出る。



『ハーイ! 大翔~!オレだよ、オレ!』



「どこにかけてんだ、てめぇ……。

オレなんて奴、知るかっ」



『それ、酷すぎない? もう、わかってるくせに。ヒロりんたら~!』



「…………」



イラッとした俺は、迷うことなくブチッと通話を切ってやった。



ふざけた電話しやがって、酔っぱらいの親父かよ、まったく。