「…こうやって麗ちゃんの 手当てをしていると、 翔司くんの 手当てをしていた時を 思い出すよ…」 そう言ったおじさんを 静かに見上げると、 優しい笑顔のまま 少しだけ涙を流してた。 「…僕の力不足だ。 あの時、 翔司くんを救えなかったこと… 今でも 悔しくて仕方がないよ。 本当は、 麗ちゃんに合わせる顔もない。 申し訳ない気持ちで いっぱいだ…」 おじさんの言葉に、 あたしは何も言えない。 いや、 声を出したくても 出せなかった。